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論文

鮮新世$$sim$$第四紀深成岩体の固結年代・深度に基づいた飛騨山脈黒部地域の削剥史

末岡 茂; 河上 哲生*; 鈴木 康太*; 鏡味 沙耶; 横山 立憲; 芝崎 文一郎*; 長田 充弘; 山崎 あゆ*; 東野 文子*; King, G. E.*; et al.

フィッション・トラックニュースレター, (36), p.1 - 3, 2023/12

飛騨山脈黒部地域には、世界一若い露出プルトンである黒部川花崗岩体を含め、10-0.8Maの若い深成岩体が複数露出する。深成岩体が一般に地下数km以深で形成されることを考えると、削剥速度は数mm/yrないしそれ以上に達する可能性がある。しかし、これらの若い岩体の貫入やこれに伴う熱水活動等の熱擾乱のため、熱年代法による、冷却史に基づく削剥史の復元は簡単ではない。本研究では、地熱条件に依らない削剥評価のため、主に鮮新世から第四紀の深成岩体の固結年代と固結深度から、黒部地域の削剥史の復元を試みた。固結年代はジルコンU-Pb年代測定法、固結深度はAl-in-Hbl地質圧力計により推定した。計14試料から固結年代と固結深度のペアを得た結果、固結深度は約6-10kmでほぼ均一で、東西及び南北のいずれにも系統的な変化を示さなかった。この結果は、黒部-高瀬川破砕帯の東側の断層ブロックが、東に傾動したと考える従来のモデルとは不調和である。固結深度と固結年代のプロットから復元された削剥史は、約5.5-0.8Maにはほとんど削剥が起こらず、それ以降の時代に平均で約7-14mm/yrの急速な削剥が起こったことを示した。この結果は、ダム堆砂量や宇宙線生成核種法から推定された数十から数千年程度の侵食速度や、約1Ma以降に信濃大町方面で黒部地域からの花崗岩礫の供給が急増したことと矛盾しない。0.8Ma以降の黒部地域の急速な隆起・削剥の原因としては、東西圧縮応力の発現以降、黒部地域の地温が高い領域に沿って変位・変形が局在化した可能性が考えられ、現在、レオロジーと地温構造を考慮した変形シミュレーションによる検証を進めている。

論文

(U-Th)/He法に係る湿式分析法の検討; 検量線法による親核種濃度の定量の試み

福田 将眞; 鏡味 沙耶

フィッション・トラックニュースレター, (36), p.14 - 18, 2023/12

(U-Th)/He法における親核種の定量には、世界的にはUやTh同位体スパイクを用いた同位体希釈法を用いることが一般的であり、多くの知見が蓄積している。一方、日本国内ではこれらの同位体スパイクの保持および使用が厳格に規制されていることから、同位体希釈法の適用自体が困難である。そこで、アパタイトやジルコンを対象とした湿式法による完全分解ののち、検量線法による親核種の濃度測定法について、その有効性の検証を試みる。分析試料はフィッション・トラック法の年代標準試料としても良く知られる、DurangoアパタイトおよびFish Canyon Tuffジルコンを採用した。本講演では、検量線法を用いた親核種(U, Th, Sm)の定量において、最適な内標準元素(Bi, Tl)を評価し、各鉱物試料における親核種の定量を実施したため、結果の一部を紹介する。

論文

日本の山岳地域におけるESR熱年代学の適用; 試料の前処理によるESR信号への影響の評価

梶田 侑弥*; 末岡 茂; 谷 篤史*; 磯谷 舟佑*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (36), p.6 - 8, 2023/12

近年、低温熱年代学の手法を用いて、若い島弧である日本列島の山地の隆起・削剥史の推定が可能になってきた。電子スピン共鳴(ESR)法は、超低温熱年代計として期待される手法の1つであるが、応用研究は未だに少数であり、熱年代計としてのESR法の妥当性の検証を含め、研究事例の蓄積が求められる。本研究では、ESR熱年代学の日本の山岳地域への適用の前段階として、試料の前処理が年代値に及ぼす影響について検討するため、天然試料および人工石英を用いた露光・粉砕実験を実施した。実験室内における3日間の光曝露実験では、ESRシグナル強度に変化は観察されなかった。一方、試料の粉砕実験では、粉砕過程及び粉砕器具の違いがシグナル強度に影響する可能性が示唆された。今後の検討手段として、プレヒートの実施、天然試料を用いた粉砕の影響評価、Selfragを利用した粒子破壊を伴わない岩石粉砕手法との比較などが挙げられる。

論文

熱史からみたジルコンの標準試料への適性評価; 石川県鷲走ヶ岳層の例

長田 充弘; 中嶋 徹; 福田 将眞; 末岡 茂; 八木 公史*; 横山 立憲

フィッション・トラックニュースレター, (36), p.9 - 13, 2023/00

ジルコンを用いた年代測定における標準試料の探求の一環として、石川県白山市南部の下部中新統鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩に注目し、ジルコンのU-Pb年代・FT年代と月長石(サニディン)のK-Ar年代の観点から検討した。本論では、鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩を鷲走ヶ岳層と呼ぶ。3試料より得られたU-Pb年代の加重平均値は約21.9-21.7 Maを示し、誤差範囲で重なる。ジルコンFT年代やK-Ar年代は一部試料が誤差範囲で重なるものの、若い傾向にある。また、ジルコンのトラック長は3試料とも初期長より有意に短いトラック長が確認された。これらの結果から鷲走ヶ岳層のジルコンはU-Pb年代のような閉鎖温度の高い手法に関しては標準試料として有効であるが、FT年代などの閉鎖温度の低い手法には不向きである蓋然性が高い。

論文

低温熱年代学に基づくスラブ起源流体活動に伴う熱異常検出の試み

末岡 茂; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 岡本 晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.1 - 4, 2022/12

沈み込み帯では、スラブからの脱水によりメルトが生成され火山弧が形成されることはよく知られている。一方で、西南日本前弧域などでは、メルトの生成を伴わないスラブ起源流体の活動が報告されている。このような流体活動は、前弧域における熱輸送・物質移動に関わるのみならず、内陸の地震活動や泥火山の噴出との関連が指摘されている。また、地熱資源の開発や地下重要施設の安全性評価などの社会的な側面からも、その性質の理解が望まれている。本講演では、過去のスラブ起源流体活動の痕跡と考えられる熱水変質帯を対象に、低温領域の熱年代学に基づいて、流体活動の熱的特徴(到達温度,継続期間など)の検討を試みた事例を紹介する。事例対象としたのは、紀伊半島本宮地域と有馬地域の2つで、いずれもスラブ起源流体の湧出が盛んな地域として知られている。本宮地域では、平治川の露頭において、熱水脈およびその近傍の母岩(四万十帯砂岩)を採取した。有馬地域では、白水峡付近の六甲断層露頭から、断層からの距離に応じて基盤岩(風化花崗岩)を採取した。これらの試料から分離したジルコンとアパタイトを対象に、FT法, U-Pb法, (U-Th)/He法による熱年代解析を実施した。しかし、いずれの試料,いずれの熱年代計においても、新しい時代の熱異常は検出できない結果となった。そこで、一次元熱伝導モデルとHeFTy ver. 1.9.3のフォワードモデルに基づいて、熱水活動に伴う冷却年代の空間分布を再現して検証を行った。その結果、熱水温度が150$$^{circ}$$Cの、1000年程度の加熱期間ではこれらの熱年代計では熱異常の検出は困難と推定された。一方、熱水温度が200-300$$^{circ}$$Cの場合、1000年以下の加熱期間でも、アパタイトFT年代やジルコン(U-Th)/He年代の若返りが期待できる。スラブ起源流体の場合、火山性の熱水と異なり、地表付近で再加熱されないため、熱年代法で熱異常を検出するには、地表付近までどれだけ高温が維持されるかが鍵となる。スラブ起源流体の熱的特徴の把握と熱年代法によるアプローチの適用性のさらなる検証のためには、200-300$$^{circ}$$Cの熱水活動が期待される地域における事例の蓄積が望まれる。

論文

バデリアイトのフィッション・トラック年代測定に向けて; エッチング実験の結果とその考察

中嶋 徹; 福田 将眞; 長田 充弘; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 末岡 茂

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.34 - 36, 2022/12

本発表ではバデリアイトのフィッション・トラック(FT)年代測定の実用化に向け行ったFTエッチング実験の結果と、その簡単な考察を行う。本研究では檀原ほか(1999)で用いられたものと同一試料のバデリアイト(第一稀元素化学工業提供試料)を使用し、NaOH-KOH共融混合液を用いて228度の温度条件で50時間まで段階的なエッチングを行った。その結果、檀原ほか(1999)の報告と同様に研磨痕の拡大、表面の粗面化などバデリアイトがエッチングされる様子が観察された一方で、FTと思しき組織は観察されなかった。研磨痕は拡大する一方でFTがエッチングされなかったことから、バデリアイトのFTは何らかの要因によりエッチングされにくいことが予想される。バデリアイトのFTを観察した研究としてO'Connell et al. (2020)がある。この研究ではTEM観察により、Xeイオントラックが単斜晶系から正方晶系への線状相転移領域(約2.5nm幅)として認定されることを報告している。本研究でFTがエッチングされなかったことは、バデリアイトのFTがアモルファス化しておらず、エッチングされにくいことが原因として考えられる。以上を踏まえると、ジルコンと同様の方法でのバデリアイトFTのエッチングは困難であると予想されるが、TEMやAFMによるlatent trackの観察などFT密度を計測することができれば、熱年代計として使用できる可能性がある。今後もバデリアイトFT法の確立へ向けて可能性を探ってゆく。

論文

ジルコン(U-Th)/He法の年代標準試料の探求(続報); 複数のジルコン試料における年代学的検討

福田 将眞; Kohn, B. P.*; 末岡 茂; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.7 - 10, 2022/12

ジルコン(U-Th)/He法の年代標準試料を確立する目的で、4つのジルコン試料について(U-Th)/He年代分析を実施した。令和2年度に報告した仁左平ジルコンに引き続いて、3年度は国内の地質試料として、濃飛流紋岩,鷲走ヶ岳月長石流紋岩およびフィッション・トラック法およびU-Pb法の年代標準試料であるMt. Dromedary, OD-3を採用した。結果として、濃飛流紋岩については二次加熱を示唆する年代の若返りが観察されたが、残り3試料については先行研究の既往年代と整合的なデータが得られた。これまで得られている7つのZHeデータを総評すると、先行研究で測定した歌長流紋岩のジルコンが最も単粒子年代のばらつきが小さく、標準試料として適切であると考えられる。今後は、年代のばらつきの原因の探求のため、ジルコン粒子の化学分析や組織観察を行う予定である。

論文

(U-Th)/He法のための高温加圧酸分解によるジルコンの完全溶解の試み

福田 将眞; 鏡味 沙耶

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.11 - 14, 2022/12

本研究では、ジルコンのU-Th濃度の定量法として、東濃地科学センターにおいて初めて高温加圧酸分解による湿式分析を試みた。初めにジルコンを900$$^{circ}$$Cで48時間アニーリングさせて、放射線損傷を回復させ、29Mのフッ酸に浸漬させて220$$^{circ}$$Cで70時間加熱して溶液化させた。完全に分解されたことを確認するため、ICP-MS(Agilent 7700x)で検量線法を用いてZr濃度を測定した。結果として、理論値に近いZr濃度が得られたことから今回の条件下で完全に分解されたと考えられる。今後はブランクレベルの低減のため、クリーンブースでの作業や分析器具・条件の選定などについて再検討し、ジルコン(U-Th)/He法におけるU-Th濃度定量の技術整備を目指す。

論文

熱年代学的手法に基づく谷川岳地域の熱史・削剥史の推定

南 沙樹*; 末岡 茂; 福田 将眞; 長田 充弘; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 梶田 侑弥*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.22 - 26, 2022/12

一般的に花崗岩は、地下数kmから数十kmの深部で形成される。したがって、最近形成された若い花崗岩が、現在地表に露出する地域では、極めて急速な隆起・削剥が起きている可能性がある。世界的に見ると、約5Maより若い花崗岩の分布は、変動帯に集中している。変動帯にある日本列島でも、飛騨山脈の黒部川花崗岩や、南部フォッサマグナ地域の丹沢トーナル複合岩体などで、ジルコンU-Pb年代測定(閉鎖温度900$$^{circ}$$C以上)により数Ma以内の若い形成年代が報告されている。本研究の対象地域である谷川岳地域は、東北日本弧南部の背弧側に位置し、その地質は主に、後期白亜紀-古第三紀の花崗岩類と、これらに貫入する鮮新世の谷川岳花崗岩類(赤湯岩体・谷川岩体・巻機岩体)から成る。先行研究では、谷川岳花崗岩類について、形成年代を表すジルコンU-Pb年代(約4.0-3.2Ma)と、約280$$^{circ}$$C付近の冷却年代を表す、ジルコンのフィッション・トラック(ZFT)年代(約3.3-2.9Ma)及び、350-400$$^{circ}$$C付近の黒雲母K-Ar年代(約3.9-3.1Ma)などが報告されている。しかし、約280$$^{circ}$$Cより低温域における熱史は不明である。本研究では、後期白亜紀水上石英閃緑岩と谷川岳花崗岩類について、未測定の地点にU-Pb年代測定を実施し、約200$$^{circ}$$C以下の低温側の熱史・削剥史を推定するためにジルコンとアパタイトの(U-Th)/He年代測定(ZHe年代: 閉鎖温度160-200$$^{circ}$$C、AHe年代: 閉鎖温度55-80$$^{circ}$$C)を実施した。その結果、谷川岳花崗岩類は、ジルコンU-Pb年代測定により、約6.0-3.2Maの間に少なくとも3回の異なる時代の貫入によって形成されたことが明らかとなった。また、最近の山地形成に関連した削剥を最も反映していると期待される、AHe年代の閉鎖温度から地表温度(10$$^{circ}$$C)の平均冷却速度は、山頂稜線の東側に位置する巻機岩体と水上石英閃緑岩で13-36$$^{circ}$$C/Ma、稜線西側の谷川岩体の1地点(AHe年代: 約1.2Ma)で36-60$$^{circ}$$C/Maと推定された。稜線東側では、AHe年代が約3.0-2.0Ma頃に集中しており、この時期の急速な削剥が示唆される。AHe年代から得られた削剥速度について、丹沢山地や東北日本弧と比較すると、谷川岳地域の削剥速度は、島弧-島弧衝突帯の丹沢山地や、歪の集中で知られる奥羽脊梁山地のような地殻変動が活発な地域に匹敵することが示唆された。

論文

北上山地における熱年代学データとその解釈

梶田 侑弥*; 末岡 茂; 福田 将眞; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.19 - 21, 2022/12

本講演では、東北日本弧前弧域に分布する北上山地を対象に、白亜紀深成岩類のアパタイトフィッション・トラック(AFT)年代、アパタイトヘリウム(AHe)年代のこれまでの結果に、FT長分布を用いた熱史逆解析結果を加えた熱年代学データの解釈を試みる。AFT年代は東縁部の約130Maから西に向かって70Ma程度まで若くなる。一方AHe年代は西縁部の約80Maを除けば約50-30Maにまとまる。北上山地の白亜紀深成岩類のジルコンU-Pb年代は135-120Maでほぼ均一なので、AFTとAHe年代の傾向は岩体の形成年代が原因ではない。またFT長を用いた熱史逆解析結果はいずれも徐冷を示し、短期的な熱イベントの存在は積極的には支持されない。以上を踏まえると、10$$^{6}$$年以上のスケールで地殻浅部における熱構造史もしくは隆起・削剥史が東西で異なると考えられる。熱構造史が異なる可能性としては、火山フロントの移動の影響が考えられる。このとき火山フロントはAFT年代の下限である約70MaからAHe年代の上限の約50Maの間に北上山地中央付近にあったと想定されるが、そのような証拠は知られていない。一方で隆起・削剥史が異なる場合、AFT年代からは沿岸部より内陸側を隆起させるような、AHe年代からは東西でほぼ一様な隆起形態が考えられる。10$$^{6}$$年以上の前弧域の隆起には底付け付加が支配的な要因の一つとなり得る(underplating model)。このunderplating modelでは、島弧横断方向に隆起量の差が見られ、沿岸部よりやや内陸側に隆起のピークを生じるため、AFT年代の東西傾向は説明可能である。また、沈み込むプレート速度が5cm/yr以下ではunderplating modelの隆起が起きないことも示されている。北上山地ではアダカイト質の浄土ヶ浜流紋岩類の活動時期(44.3Ma)には暖かいプレートが沈み込んでいたと考えられ、この時期の前後には底付け付加の隆起が停止していた可能性が高い。その後、底付け付加による隆起は再開したが、沈み込むプレートが交代したことにより、AHe年代に東西で差をもたらすほどの削剥量の違いを生むに至らなかった可能性が考えられる。

論文

照来層群歌長流紋岩から得られたジルコンU-Pb年代

長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 中嶋 徹; 梶田 侑弥*; 南 沙樹*; 岡本 晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.15 - 18, 2022/09

ジルコンを用いた年代測定の標準試料の探求の一環として、照来層群歌長流紋岩中のジルコンについて、U-Pb年代測定を実施した。歌長流紋岩からは、先行研究により約2.30-2.77Maのジルコンフィッション・トラック年代,ジルコン(U-Th)/He年代、および黒雲母K-Ar年代が報告されていた。ジルコンは短柱状から長柱状の自形を呈し、カソードルミネッセンス像観察では明瞭なコア・リム構造や累帯構造を示さない。レーザーアブレーション・マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置を用いてU-Pb同位体を測定した。2試料より得られたU-Pb年代は、いずれも2.5-3.0Maを示し、それぞれ2.65$$pm$$0.16Maおよび2.66$$pm$$0.15Maの$$^{238}$$U-$$^{206}$$Pb加重平均値を得た。得られた年代は、先行研究による閉鎖温度の異なる年代と整合的であるため、歌長流紋岩中のジルコンが標準試料として有効である可能性がある。今後、更なる各種年代、U, Th,希土類元素などの元素濃度の測定から標準試料として適切か検討する。

論文

ジルコン(U-Th)/He法の年代標準試料の探求; 仁左平デイサイトにおける年代学的検討

福田 将眞; 末岡 茂; 菅野 瑞穂; Kohn, B. P.*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (34), p.9 - 13, 2021/12

ジルコン(U-Th)/He(以下、ZHe)法における年代標準試料の確立を目指し、岩手県二戸市周辺から採取した地質試料である仁左平デイサイトについてZHe年代測定を実施した。本試料は、年代学的手法に基づく既往研究が豊富な試料であり、既報年代は22Maから21Ma程度に集中する急冷試料であることが明らかとなっているため、ZHe法についても年代標準試料としての潜在性が期待される。結果として、ZHe年代は21.5$$pm$$0.2Maが得られたが、単粒子年代は40Maから15Ma程度までランダム誤差に起因するとみられる広いばらつきを示した。その原因として、ジルコン中の親核種濃度の不均質や、岩石試料の薄片観察により明らかとなった異質岩片が考えられる。したがって、ZHe法の年代標準試料の適性は低いと判断されたが、既往研究で示されているようにジルコンフィッション・トラック年代やU-Pb年代は年代のまとまりが良いため、これらの分析の標準試料としては適性があると判断できる可能性がある。今後は、U-Pb法などの他の手法で用いられている年代標準試料などを対象にZHe年代標準試料の候補の探求を継続する。

論文

アパタイトフィッション・トラック熱年代学に基づく北上山地の削剥史の推定

梶田 侑弥*; 末岡 茂; 福田 将眞; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 長田 充弘; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (34), p.14 - 16, 2021/12

東北日本弧前弧域における地質学的時間スケールの詳細な隆起・削剥史の復元のため、北上山地に分布する花崗岩類を対象としたU-Pb年代測定およびアパタイトフィッション・トラック(AFT)熱年代学を適用した。また、東縁に分布する浄土ヶ浜流紋岩について、その熱的影響や活動時期推定のため、U-Pb年代測定を行った。結果として、北上山地に分布する白亜紀花崗岩類2試料について122.7Maと117.3MaのU-Pb年代、および15試料について156.8Maから70.3MaのAFT年代、浄土ヶ浜の流紋岩については44.3MaのU-Pb年代が得られた。先行研究および本研究で得られたAFT年代を総合すると、北上山地の西方に向けて若返る傾向が示唆された。その原因として、火山フロントの移動による浄土ヶ浜の火成活動が考えられるが、本研究で得られたU-Pb年代に比べてAFT年代は有意に古い結果となり、トラックの長さ分布を利用した熱史逆解析の結果も徐冷を示唆していることから、再加熱を積極的に支持する結果は得られなかった。今後は、追加分析によるデータの信頼性の向上や、ESR法などのより閉鎖温度が低い熱年代計などの適用を予定している。

論文

ジルコンU-Pb年代測定による谷川岳地域に露出する中新世$$sim$$鮮新世花崗閃緑岩の貫入年代の推定

南 沙樹*; 長田 充弘; 末岡 茂; 福田 将眞; 梶田 侑弥*; 小北 康弘; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (34), p.4 - 8, 2021/12

国内において急激な隆起・削剥を経験してきた地域であると期待される、数Maに形成された若い花崗岩類が露出する谷川岳地域において、貫入年代の決定を目的にU-Pb年代測定を実施した。結果として、白亜紀花崗閃緑岩では109Ma、若い花崗岩類と推察された岩体では3.95Maから3.19Ma(3試料)のU-Pb年代が得られた。これらの年代は先行研究で報告されていた、より閉鎖温度の低い手法であるK-Ar法やジルコンのフィッション・トラック年代と整合的な値であり、本研究で得られたU-Pb年代の方が古い値を示す。したがって、得られたU-Pb年代は若い花崗岩の貫入年代に相当すると解釈でき、最低でも二回に及ぶ複数の貫入イベントによって谷川岳地域の若い花崗岩体が形成された可能性を提示した。

論文

17th International Conference on Thermochronologyの参加報告

中嶋 徹; 福田 将眞; 小形 学; 末岡 茂

フィッション・トラックニュースレター, (34), p.25 - 26, 2021/12

17th International Conference on Thermochronology (以下、Thermo2021)が2021年9月12-17日にアメリカ、ニューメキシコ州Santa Fe市街地のEldorado Resortにて開催された。2020年開催予定の本大会であったが、新型コロナウイルスの蔓延と社会情勢を理由に延期となっていた。本大会に先立ってVirtual Thermo2020/1と銘打ったオンラインセッションが開催されたこともあり、本大会は原則現地開催となったが、社会情勢の悪化により渡航を断念したグループも多く、発表はZoomを通して全世界と共有された。本稿では、参加までの経緯、本大会にて行われた発表の内容や傾向、2023年、2025年大会に向けての課題を報告する。

論文

原子力機構におけるFTおよび(U-Th)/He分析施設の現状と展望

末岡 茂; 島田 耕史; 菅野 瑞穂; 横山 立憲

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.15 - 18, 2020/10

原子力機構における(U-Th)/He年代およびFT年代測定の分析施設について紹介する。FT法については、FT自動計測装置の導入を行い、分析の迅速化・簡便化を行った。また、ジルコンを対象とした分析環境の整備も進めている。今後の課題としては、LA-ICP-MSを用いたウラン濃度測定手順の確立などが挙げられる。(U-Th)/He法については、新たなHe質量分析計(Alphachron)を導入し、He濃度測定の自動化を行った。U-Th濃度の測定が今後の課題として挙げられる。

論文

FT自動計測装置を用いたアパタイトFT密度測定作業時間と結果

島田 耕史; 末岡 茂

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.19 - 21, 2020/10

もんじゅ敷地内の花崗岩から分離したアパタイト粒子と、新たに作成した標準試料(Durango産アパタイト)のフィッション・トラック(FT)密度を、FT研究の初心者である筆頭著者がFT自動計測装置で計測した結果および作業時間を報告する。本自動計測装置は本邦初の導入であり、測定作業時間は大幅に低減した。また得られたFT密度は共著者による既往報告と調和的であり、熟練者の専門的経験に基づく適切な指導があれば、初心者でも熟練者と遜色のないデータを短時間で得られる可能性が示唆された。

論文

野外調査に基づく断層運動の影響に関する研究事例の紹介

丹羽 正和

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.22 - 24, 2020/10

地層処分などの地下空間利用においては、断層運動が周辺岩盤に及ぼす変位や破壊などの影響範囲を評価することが求められる。その際、広域的なスケールにおいて、散在する破砕帯や小断層の分布傾向や性状を把握することが重要である。本報告は、岐阜県北部、飛騨地域の跡津川断層を事例対象とした野外調査に基づき、活断層帯周辺における破砕帯の空間分布と性状について整理し、断層運動の影響を検討した事例について紹介したものである。

論文

伊豆弧の衝突と南部フォッサマグナ地域の山地形成; 低温領域の熱年代学による知見

小林 侑生*; 末岡 茂; 福田 将眞; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.25 - 27, 2020/10

本州弧と伊豆弧の衝突帯である南部フォッサマグナ地域を対象に、熱年代学の手法を用いて山地の隆起・削剥史を検討した。筑波山,足尾山地,奥秩父のアパタイトFT年代は、伊豆弧の衝突以前の冷却・削剥や岩体形成を反映した古い値を示したが、関東山地のアパタイトFT年代や、より閉鎖温度が低いアパタイト(U-Th)/He年代では衝突開始以降の新しい年代値が得られた。アパタイトFTデータに基づいた熱史逆解析の結果、関東山地の北部から中部と身延山地では約1Ma、奥秩父と関東山地の南部では約4-5Maの急冷イベントが認定された。これらの時期は伊豆ブロックと丹沢ブロックの衝突時期とそれぞれ一致しており、伊豆弧の衝突イベントによる本地域の山地形成への影響が示唆される。

論文

熱年代学を用いた北上山地の隆起・削剥史の推定

梶田 侑弥*; 福田 将眞; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; Kohn, B. P.*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.28 - 30, 2020/10

東北日本弧前弧域に分布する北上山地を対象に、熱年代学的手法を用いて山地の熱史・削剥史を検討した。北上山地を東西に横断する方向にアパタイトのFT法および(U-Th-Sm)/He法を実施した結果、既報年代と併せると、FT年代では東側から西側にかけて系統的に若い年代の傾向を示すのに対し、(U-Th-Sm)/He法では西縁で最も古い年代が検出され、以東ではほぼ一様な年代を示した。今後はより詳細に北上山地の熱史の傾向を議論するため、火山フロントの位置がほぼ現在の位置にあったとされる、1千万年以降の年代が期待できる熱年代学的手法の適用を予定している。

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